◇ 12月のバラの手入れポイント ◇
気温は次第に下がって、上旬には霜が見られるようになります。バラは年末まで残り花を咲かせますが、その株は生長をやめ、休眠に入っています。バラの場合はこの12月が来シーズンの準備の始まりとなります。この時期、生育期にはできない荒療治として、大苗の植え付け、植え替え、鉢植えの土替え、冬の剪定、つるバラの誘引と剪定、冬の元肥、冬の病害虫対策など数多くの力仕事がありますが、早く済ませたほうがよいものから予定を立てて取り組みましょう。
■大苗の植え付け
前の冬に接木した苗を1年育てたものが大苗、秋から売り出されます。ホームセンターなどでも入手できますが、品揃えの点でバラ専門業者が勝ります。植えつけるのは気温が低く植えた後に芽が伸びてくる心配のない3月上旬までならいつでもよいのですが、注文が遅くなると品切れの品種が出て希望の品種が手に入らなくなる恐れがありますので早めに注文しておきたいものです。
掘った穴に有機物5~10リットル、配合肥料250g程度を入れ、土と混ぜた後、苗を植え、水を10リットルやって完了です。その際深植えにならないよう気をつけます。移植は強めの剪定を行った上、株の中心から半径30cm程度の所を掘りあげます。その際、根鉢を付ける必要はありません。植え付け同様、植え穴に有機物、配合肥料を施します。
■冬の元肥
低温期なので発酵、分解に時間がかかるので1月中には終わるようにします。一緒に与える腐葉土、牛糞などの有機物も同様です。

■植え替え
場所を変えたい株、生育が思わしくない株はこの時期に植え替えます。植え替えは根を強く切り詰めるので、少し早めに行い根の回復に時間を見てやります。
■鉢植えの土替え
狭い鉢内の土は1年間の生育でかなり消耗していますので、定期的に鉢土を替えてやると旺盛に育ち続けます。2年に1回は土を替え、土替えをしない年は、水やりで流失した土を補う意味で、土の表面に牛糞を1㎝ほど敷いて有機物の補給をします。生育の悪い株やシュートの発生がよくない株は、毎年行って根の状態をチェックします。植え替え同様根を切り詰めますので早めが望ましいのですが、寒地では鉢土が凍り、作業がやりにくいので暖かな日を選んで2月中旬には終えたいものです。
■つるバラの剪定と誘引
これも3月上旬までに終えればよいのですが、伸び放題になっていると庭は整然としませんので、年内に済ませると正月がすっきり迎えられます。剪定と誘引の基本は
1.これまでの誘引をすべて外し、ゼロからやり直す。
2.誘引するスペースに見合う数の枝幹だけを残し、古い順に元から切る。今年伸びたベーサルシュートやサイドシュートを主力に配し、不足する分を昨年の開花枝で補い、それ以上古い枝は使わない。
残した幹は春の開花枝を2、3芽残して剪定、新しいシュートは先端の30cmほどを切り詰めたのち、混みすぎないよう誘引します。誘引は直立させると花数が少なく、水平以下だと生育が劣るので45度~水平の範囲に寝かせて誘引すると花つきがよくなります。結束資材はやはりシュロ縄が便利です。順序としては古い幹、太い幹を先に誘引し、新しい幹、細い幹は曲げやすいので後に回す、下から上まで花で埋めるには細い枝を中心部と株元に配置します。枝間の距離は20cm程度を確保して過密にしないようにします。
■休眠期の病害虫防除
葉が落ちてくると枝幹に白く寄生しているカイガラムシが目に付きます。放っておくと、ひどく生育を害し、枯れることもあります。寄生している株にはカイガラムシエアゾールなどを散布します。
■咲きがら摘みと除草
数は少なくなりますが、花は咲き続けますので咲きがらは摘んでおきます。また、ハコベ、ホトケノザなどの冬草が繁茂してきますので、早めにホーや鎌などで掻き取ります。株元の落葉なども清掃しておきます。
◎以上の作業は関東以西の作業となります。北の地方や降雪地帯にお住まいの方はテキスト2、112ページの平均気温表をご覧いただき、時期をずらして作業しましょう。
◇12月のバラの写真◇
▼冬を迎えたバラの様子です。(12月6日撮影)