ハーブ・アロマ メルマガ 「佐々木薫先生のエッセイ」
vol.28
シアバターで秋のスキンケア
秋から冬のスキンケアにおすすめの素材がシアバターです。シアバターは西アフリカのサバンナ地帯に自生するシアの木の種子(仁)から採れます。化粧品のイメージが強くありますが、元々はココアバター同様、チョコレートの原料として使われて来ました。産地では食用油に使われますが、やけどや傷の手当て、スキンケアなど万能的に使われ、家庭の必需品です。紫外線や乾燥から肌を守り、筋肉痛やリウマチ、ヘアケア、白髪・脱毛の予防にも使われます。1990年代の終わりごろから、化粧品材料として着目されるようになりました。
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シアの実がなるのは4月から6月。収穫は、早朝4~5時ごろから始まり、日が昇って暑くなり始める朝7時ごろまで、女性たちの手で行われます。特別な道具は使わず、単に落ちている実を集め、バケツやたらいがいっぱいになったら頭に載せて運ぶという極めてシンプルな方法です。果肉を食べることも出来ますが、種の方が大事。実がつぶれていてもお構いなしで拾い集めます。収穫の時期は熟した実がたくさん落ちてくるので、前日に採りきっても翌日にはまた同じ場所で採ることができます。木は自生のものが多いですが、植樹をしてから収穫できるまで15年から20年かかり、大きくなった木は50年、100年と生き続けます。
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シアバターは、成分のほとんどをステアリン酸、オレイン酸が占めるため、酸化しにくく、肌にとてもなじみやすく、肌を長時間、しっかりと乾燥から守ってくれます。また、シアバターの特徴は、脂肪酸以外の微量成分が豊富なことです。例えば神経系を強化し、細胞を保護するトコフェロール、皮膚や粘膜の再生を助けるカロチノイドなどです。他にもトリテルペンアルコールは水分と結合する性質があり、肌をやわらかくし、肌の健康に役立ちます。結果、しわやたるみを防ぎ、アンチエイジング効果が期待できます。
まだまだ強い紫外線やエアコンによる乾燥対策にはイチオシです。肌が乾燥していると、紫外線によるダメージも強くなりますので、紫外線が強い季節ほど保湿が重要ということになります。
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もっとも簡単なレシピは、シアバター30gを小鉢にとり、ホホバ油を適宜加えながら練ります。ある程度柔らかくなったら、好みの精油を6滴加え、さらに練り、容器に移して出来上がりです。練りにくいときは少し温めるとよいでしょう。顔以外の乾燥が気になる部分に使えます。少しべとつくので、使うのはお風呂上りや就寝前がおすすめです。髪のパサつきが気になる時、毛先につけるのもよいでしょう。原料がすべてわかる、シンプルなクリームです。
日本園芸協会 指導部 佐々木薫
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